怪奇愛好家。

確か、迷路は壁に手をつけて
離さずに進んで行けばいいはずだ。

そうすればいずれかの出口に着くだろう。



「……うわー……」


少し入ったところから、
外の壁と同じように、
真っ赤な手形がいくつもついている。


……これはもしや、
心理的に壁に手を付かせないように?

乗ってたまるか。


気にせず、そのまま手をつけて進む。


ヌルッ


「え?」


一瞬、血、かと思った。

だって、壁の手形に触った瞬間、
気持ち悪い感触がしたからだ。


「……なんだ、泥か!」

心細さからか、
つい、独り言を言ってしまう。


壁のこれは、きっと子供の悪戯だろう。

でも、よく見るとこの先にいくつも
水分を含んだような手形が見受けられる。

……仕方が無いから、手はつけずに進もう。
触れなくても、効果は同じだ。


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