怪奇愛好家。

けほけほ。

この子は、時々咳をしている。
息を吸うのも、苦しそうだ。


「大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ。
 ちょっと、喉が渇いてるだけだから」

「そっか、よかったらコレ、飲む?」


飲みかけで悪いんだけれど、
鞄に入れていたスポーツドリンクを出す。


「……いいの?」

「どうぞ」


大分温くなっていたそれを、
けれど少女は美味しそうに飲んだ。


「お水はいっぱいあったけどね、
 全部、泥だらけだったの。
 美味しくないの」

「……そうなんだぁ、
 そんなのは飲んじゃ駄目だね」

でもコレは、甘くてすっごく美味しい!と
彼女はとても喜んでいる。

そんなに嬉しかったのなら、
スポーツドリンクも本望だろう。

でも、泥だらけの水って……?


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