怪奇愛好家。

まず、写真立てを触った時。
僕の物しか、感じられなかったそうだ。

姉さんのダテ眼鏡も、何も無かった。
それどころか、部屋の全てから、
姉さんの痕跡が何も無かったと。

つまり、この世界には最初から、
姉さんは居なかったんだ、と。

だから、両親は姉さんの事を、
あまり口にしないんだと。

ここでは、姉さんは最初から
‘居ない人’という存在らしい。


……確かに、
僕の記憶には、親バカな映像がある。

家出だと思っていても、
もう少し、気にかけていてもいいはずだ。




次に、僕に触った時。
色々と、ありえない物を見たそうだ。

まず、僕があの家で、
両親と一緒に夜を明かしている事。

この世界のあの場所では、
絶対にありえない事だそうだ。

それから僕の幼馴染も、
見えたけれどこの世界の事じゃないと
自信を持って言えるらしい。

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