怪奇愛好家。
エピローグ
――異次元トンネル。
そう呼ばれるトンネルが、
僕の住む街にはある。
そのトンネルに、入り、
僕は5年前―10歳の時に行方不明になり
16になる今年、
ようやく帰って来た。
そして、その間の事は、何も記憶が無い。
家に着くまでは
憶えていたような気がするけれど、
体調も至って順調だし、
何かをされた形跡も無い。
特に問題はないだろう。
姉さんは隣街の短大を卒業後、
隣街の会社に就職し、今までずっと
毎日、トンネルを通る前に、
僕に電話をかけ続けていたらしい。
確かに、携帯にはその履歴が残っている。
あと、すべてが文字化けしている
アドレス帳のデータが2件。
……不気味だ。