怪奇愛好家。

「あ、来た来た!」

菜月ちゃんが、
手を振っている。


「ねえ、何してたの?」

トンネルから出た僕に
楽しそうに聞いてきたのは留衣さんだ。


「何って……」


「君、居なくなってたじゃない」

留衣さんはニコニコして言った。





「……電話してました」

「トンネルの中じゃ通話できないだろ?」

亮太郎が言う。


「いや、してたんだよ。姉さんと」


そう言って通話履歴を開く。

……よかった。
ちゃんと記録されている。

「ほら」

それを4人に見せると、
留衣さんの顔色はパッと変わった。

…さっきよりも断然、嬉しそうだ。


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