Love syndrome〜溺れるように惹かれていくんだ〜
高野課長の表情から、なにを考えているのかが全くわからない。
…わからないけど、その視線だけは私をえぐりとれるくらい鋭かった。
「………昼間、食堂の様子を見ただろう」
不意にそう言う課長に私はなにも言えなかったが、課長はそんな私を気にする様子もない。
「―――俺には親がいない。生まれてすぐに施設の前に捨てられた。…親に愛されなかった子供は、“愛”なんて信じない。女なんて、所詮性欲処理の相手としか見れないんだよ」
そう語る口調は穏やかなのに、私はなんだか寒気がした。
高野課長は私にゆっくり近づき、私をまじまじと見つめる。
その瞳はなんにも映していないビー玉のようだった。