Love syndrome〜溺れるように惹かれていくんだ〜
ファーストキスは好きな人としたいって、この年までとっておいたのに。
なのに、こんな形で奪われるなんて。
最悪!
最悪!
最悪!
涙は止まらず、私はそれを拭うのに必死だった。
「…ごめん。でも、おまえは俺の女ってことで。ちゃんと片づけ終わらせてから出てこいよ」
高野課長はばつが悪そうに謝ったかと思うと、さらりと“俺の女”とか言いながら資料室を静かに出ていった。
―――あんなに冷たいことばかり言ってるくせに、高野課長の唇はしっかり暖かかった。
涙が止まっても、その感覚はいつまでも残っていた。