Love syndrome〜溺れるように惹かれていくんだ〜
―――バンッ!
「―――里谷!」
次の瞬間耳に届いた音は、私の頬を叩く乾いた音でなく会議室の扉が開く音だった。
先輩の力が緩み、私の胸元を掴んでいた手も離れていく。
会議室の入口を見ると、走ってきたのか少し髪の乱れた高野課長が入ってくる。
先輩は高野課長の腕に手を伸ばし、さっきまでとは違う甘えた声を出して話し出した。
「高野さぁん…私のこと、探しに?」
すると、課長は今までに聞いたことのないくらい低い口調で答える。
「―――なに寝ぼけたこと言ってんだ?」