Love syndrome〜溺れるように惹かれていくんだ〜
しかし、課長の手は私を包み込んだまま離そうとしない。
その行動に私の心拍数は一気に上がり、顔が赤くなるのを感じた。
「…離して、ください!」
「やだ。おまえは俺の女だろう?震えてるときくらい甘えろよ」
―――そんな風に言う口調は、まるで本当に好きな人に語りかけるようで、勘違いしそうになる。
課長の気持ちも。
自分の気持ちですらも。
「だったら、せめて彼女一筋になったふりでもしててください。…こんなことばっかじゃ、つらいですから」
「………あぁ」
課長の返事が空気に溶けていく。
私たちは視線を合わせることもなく、そのままじっとしていた。