Love syndrome〜溺れるように惹かれていくんだ〜
愛なんかいらない〜昴の場合〜





―――高野昴、27歳。


俺は、今まで誰のことも愛したことがない。




俺は、生まれてすぐに施設の前に捨てられていたらしい。
俺の名前と、“この子を頼みます”とだけ書かれたメモと一緒に。


俺のような子供は結構多いらしく、園長先生がため息を付きながらほかの先生と話しているのを聞いたことがある。


…あれは、夜なかなか寝付けなくて園長先生の部屋へ行ったときだった。


『親に愛されない子供ほどかわいそうなものはない』


その言葉は幼い俺の心に深く刺さる。


その言葉を聞いてしまった俺を見て、明らかにやってはいけないことをしたと言わんばかりの表情になった大人たちを俺は忘れられなかった。





< 49 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop