Love syndrome〜溺れるように惹かれていくんだ〜
静香が気を利かせていなくなったあと時計を見ると、午後の業務が始まるまであと15分ほどあることがわかった。
私は、私の横ですっかり寝息をたてている高野課長の顔をのぞき込む。
―――こうやってじっくり見るチャンスなんて今までなかったけど、やっぱり課長って整った顔してる。
まつげだって長いし肌も透き通ってて綺麗だし、羨ましいくらい。
………この人は、私のいったいなにがいいんだろう?
偽彼女にするにしたって、もっと綺麗で聞き分けのいい人くらいいくらでもいるはずなんだ。
「―――ン…」
眉間にしわを寄せて、身じろぎする課長。
にぎやかな社内においてひっそりとしたこの場所で、時間まで私は彼のそばにいた。