Love syndrome〜溺れるように惹かれていくんだ〜
グラスを傾けると、氷同士がぶつかって透き通った音がする。
私がそんなグラスの氷をじっと眺めていると、静香は口を開いた。
「………でもさぁ、課長もまんざらでもない気がするんだよなぁ」
「うん…」
「いや、勘だけどね?なんかこう、…詩穂を見る課長の視線って、他の人を見る視線よりも優しいってか、柔らかかった気がしてさ。今思えばだけどね」
静香の言葉も、今はまったく頭に入らない。
…ふとした瞬間に頭によぎる課長の幻影を感じるたび、私は胸を高鳴らせていたから。
そしてそのたびに、苦しいくらい胸が締め付けられていたから。