桜りっぷ
茉優は、咄嗟にその男の元へ
走り、その腕を取った。

「お待たせ」

男性は、驚いた顔をした。

「マヒロ・・・」

「新しい彼なの?
 もう、しつこくしないで
 ・・・」

茉優は、元恋人の耳元に
小声で囁いた。

「私に触れたら
 指の一本どころじゃ
 すまなくなるわよ」

男は、男性の姿を見つめた後
急いでその場所を離れて行った

逃げて行く、男の後姿を
見つめながら笑う、茉優。

組んだままの腕・・・

「放してくんねえか?」

放せない手・・・

「おい、どうした?」

悲しくないのに

涙が流れるのは

何故?
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