world story


「エニーはどこの国に住んでたの?」


歩いてる最中にレーナが言う。


「それがな、記憶がないんだ…でも…微かに覚えてるのは…あんたみたいな人間が町を破壊してる所…」


「………」


「それしか分からない…私はそれまでどんな暮らしをしていたか…分からない…親の顔も…友達も…何にも覚えてない」


「記憶喪失ってやつ?」


リトがエニーに聞く。


「まあ…そうなるだろうな…全くないんだ…町を破壊されること以外…」


「その人にとって衝撃的なことは嫌でも微かな記憶として残るんだ…」


「レーナ?」


レーナがひとりで呟くのを見て、リトは不思議に思う。


「ううん…ただの独り言…気にしないで」


「そうか?ならいいけど…」


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