world story
ふたつの死
それから、リトはいつでもレーナに言い聞かせた。
レーナとはどんな人物だったのか、レーナとの記憶を…
「いいかレーナ、お前は俺達の仲間で、お前は魔法が使えて…」
リトがレーナに言い聞かせている間にダイナは石の使い方を研究した。
「えーと…これがこれで」
「あの人…本当にレーナさんになるかなぁ」
コーヒーを飲みながらダンは心配そうにリトとレーナを見る横でエリカは言う。
「きっと大丈夫…レーナになれるよ」
「私……レーナ…?…あなた…リト…」
棒読みだが、レーナは少しずつ言葉が使えるようになる。
「そうだ、お前がレーナで、俺がリトだ」
「はい……」
しかし、後で気付いたことだがこのレーナの瞳には何も見えていないようだ。
ただ遠くを見るような目をし、棒読みに話すだけ。