world story
「ん?」


「…私は……っ」


レーナの頭にシミラの姿が浮かぶ。



「…………っ」


リトはレーナがカタカタ震えてるのが分かった。


「レーナ?大丈夫か?」


「リト……私……」


その時、ものすごい突風がふたりを襲った。


「うわぁぁ!」


リトはバランスを崩し、レーナを押し倒すように倒れる。

「きゃっ」


レーナはリトの下敷きになった。



しばらくして風がおさまる。


「レーナ…大丈夫か?」


「…………」


「レーナ?」


「ふふふ……あはははは!」

「?…レーナ…なんで笑ってる?」


「だって…さっきのリトの叫び声ときたら…少しの風なのにオーバー過ぎ…」


「少しの風?」


「え?…あ、昨日私…夢の中ですごい風に飛ばされそうになった夢を見て…だから」


「あのことか…お前あの時意識がまだあったのか?この世界に入り込んだ時」


「そうだったのかな?あんまり覚えてないけど…誰かに抱きしめられたような感覚はあったわ」


―それ…俺だ…―


リトは自分のしたことが少し恥ずかしかった。


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