world story
「な?!」


「普通…学校とかで習うはずよ、これくらい」


「…俺…学校行ってねえんだよ」


「え?」


「小さい時に両親が死んで…金も何もない俺は…ただ食料や金目の物を盗んで生活してたんだよ」


「……そう…なの…?ごめんなさいね、私…何も知らなくて」


「いや、別にいいけどさ」


リトは笑いながら言う。


「俺な、盗みだけは自慢だぞ、捕まることねえし!まあ…小さかった頃は捕まったりしてたけど…まだ子供だからって許してもらったことはあったな…」


「苦労したのね…」


レーナはリトを見る。


「あと…お前ってどうして最初人形だったんだ?最初から人間としてやって来てもよかったんじゃ」


「人間でやって来ちゃったら、誰もがびっくりして私を保護するはず…世界の分裂を止めるどころか、保護施設で暮らすことになって私はミラを持つ者と会えなくなっちゃうでしょ?」


「まあ…そうだろうな」


「だから私は人形としてミラを持つ者を待ち続けたの」


「…きついな…待ち続けるとか…俺は退屈で嫌だぜ…」


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