【短編】狼彼女とチョコレート
「ね、チョコ。…好きなんでしょ?」
会長がもらったものをあたしが持って帰るわけには行かないし。
あたしが紙袋を押しつけると、会長は嫌そうな顔をして、それを受け取った。
「好きなわけないだろ。そんな甘いもの…」
「…は?」
意味、わかんないんだけど。
なんでチョコ嫌いなのに、あたしに欲しいって言うわけ?
あたしがそう聞くと、会長は困ったように頭をかいて、外方を向いた。
「………んだ」
「え?」
「俺は………お前からのチョコが欲しいんだよ……っ!」
「……馬鹿」
あたしは思いっきりため息をついた。
「なんでため息…」
「ため息もつきたくなるわよ。」
最初からそう言えばいいじゃない。
遠回りして………面倒くさい。
そう言いつつも、普段は聞けない会長の言葉に口元が緩みそうになる。