いつかたどりついたら
2、矢沢先輩
春樹と優にいちゃんには
まだ言っていないことがある。

矢沢先輩の告白を断った後の話。


「そいつと付き合ってんの?」

と、矢沢先輩は聞いてきた。
ドスの効いた、高校生とは思えない声。
背が高いせいか、すごい威圧感がある。

どうしてこんな別世界の住人が
私みたいな女子に告白しているのだろう。
一度も、話したことも無いのに。

「付き合っているわけでは無いです」

「じゃあ、まだ望みはあるね」

矢沢先輩は、にやっと笑った。

その笑顔が意外と優しくて、
この人は見た目ほど怖い人じゃないのかも
と、思った。

しかも、
今までの男子は
すぐに諦めてくれたのに、
矢沢先輩は
私のことを諦めていないようだった。
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