いつかたどりついたら
「……っったああああ!」

外に聞こえそうなくらい大声で
天井に向かって大きなガッツポーズ。

本当に
心底嬉しそうだった。
他人からこんなに喜ばれたのは
生まれて初めてだ。

「ヤバい、マジで嬉しい」

矢沢先輩が
左手で私の右手を取る。
暖かい、大きな手。

「ねえ、キスしていい?」

「え?」

ドキドキしていた気持ちが
一瞬、すうっと引く気がした。
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