いつかたどりついたら
「今ですか?」

「今ここで」

肩に先輩の手がかかる。
キスって、
こんなに付き合ってすぐ
するものなのかな。

「私、したことないんですけど」

「マジ? 俺ってラッキー」

矢沢先輩の微笑みが
暗闇で赤いランプに照らされて
顔立ちの陰影をはっきりさせている。

少しずつ、
怖くなってくる。
先輩に眼鏡を外される。

でも、 
これからこの人と付き合っていくんだし。
キスくらい
大したこと、

「!」
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