いつかたどりついたら
二階の自分の部屋に上がると、
春樹は私のベッドに寄りかかって
雑誌を読んでいた。
ラジオも勝手に付けてある。

「おかえり」

雑誌から顔も上げずに言う。

「優にいちゃんは?」

「学校。まだ部活中じゃない?」

優にいちゃんは、
学校に行ったんだ。

「春樹は学校に来なかったね」

「うん」

春樹は制服のままだった。
自分の家には帰らなかったみたいだ。
一体何時から私の部屋にいるのだろう。

「でも、うちには来るんだ」

「今日、『花とゆめ』の発売日だろ」

やっと顔を上げて、春樹が言う。
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