いつかたどりついたら
あきれた。
あんなことがあったのに、
わざわざマンガ雑誌を読みに来るなんて。

コンビニの袋を軽く投げつけて、
髪をほどく。
おさげにしていたので、
ウェーブ状にクセがついている。

「何か入ってる」

コンビニの袋を覗いていた春樹が
薬用リップを取り出す。

「あ、それ」

隠す必要も無いのに、
何故か慌てて春樹の手から取り戻す。

「千里でもそんなのつけるんだ」

「薬用リップくらい使うよ、私でも」

春樹は
今朝の自分の言葉を
忘れているのだろうか。
それとも
ワザとはぐらかしているのだろうか。
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