いつかたどりついたら
リップのパッケージを開けて、
鏡の前で塗ってみる。

マンガ雑誌を読もうとしていた春樹が
顔を上げる。

「悪くないじゃん」

「リップのこと?
色なんてほとんどついてないよ」

ラジオからは、
爆風スランプの「Runner」が流れている。

  かげりのない 少年の
  季節は すぎさってく
  風はいつも 強く吹いてる

「ついてるよ、眼鏡はずしてみて」

  走る走る 俺たち
  流れる 汗もそのままに

言われるままに
眼鏡をはずす。

  いつかたどり 着いたら
  君に うちあけられるだろ
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