いつかたどりついたら
薬用リップを握り締めて、
崩れ落ちるように座り込む。

涙が、
次々にあふれて
止まらなかった。

矢沢先輩のキスとは
全然違うのに、

ほんの少し
唇が触れただけなのに、

体中が痺れるみたいで、

一秒にも満たないその時間が
永遠に引き伸ばされたようで、

だけど、
悲しくて、
悲しくて、

矢沢先輩、ごめんなさい。
春樹への想いを忘れるなんて、
できないのかも知れません。

ごめんなさい。
< 28 / 90 >

この作品をシェア

pagetop