いつかたどりついたら
優にいちゃんは
いつも思慮深くて落ち着いている。
一歳違いとは思えないくらい大人で、
まだ子供みたいな春樹とは正反対だ。

「そんなに悪い人には思えなかった」

ふと、思い出したのは、
キスした後の矢沢先輩の顔だった。
あの、少し突き放したような表情が、
本当の彼なのかも知れない。

「千里ちゃんがそう思ったのなら、
そうなんだろ」

優にいちゃんは
にっこり笑って
私の頭をくしゃくしゃとなでる。

そして、

「ああ、
ついに千里ちゃんにも恋人ができたか。
先を越されちゃったなあー」

と言いながら、
大げさにガックリとうなだれた。
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