いつかたどりついたら
カラーチップと同じ色を
ポスターカラーという絵の具で
混色する課題だった。

DICカラー21番。
さっき春樹が撮影していた空みたいな
薄い水色のカラーチップ。

もう少し青いかな、
などど思いつつ絵の具を足していたら、

「千里は吉野春樹の事が
好きなんだと思ってた」

と、八千代がつぶやいた。

「わあっ、青入れすぎた!」

動揺して手元が狂う。

「あ、その青分けてくれ、
ちょっと足りないと思っていた所だ」

八千代が私のパレットから
筆で青い絵の具をすくう。

「春樹はいとこだよ。そんな風に見えた?」

春樹の方を見てみる。
パレットから絵の具があふれそうなのに、
まだ白を足そうとしている。

「んー、色恋事はよく分からんわ」

八千代が紙に試し塗りをしながら言う。

中学生の頃からの習慣で、
教室では春樹とあまり話さないのに、
どうして分かるんだろう。

もし八千代が恋をしたら、
私は気付いてあげられるのだろうか。
普段でも何を考えているか分からないし、
多分、無理だろうな。
と思って、ちょっと反省してしまった。
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