いつかたどりついたら
6、口実
最近良いお天気が続いていて、
冬用の制服だと少し暑い。
矢沢先輩と付き合いだして
半月が過ぎようとしていた。
私の不安をよそに、
矢沢先輩はとても優しかったし、
春樹とは何事も無かったかのように、
仲良くできていた。
このまま全てがうまくいくような、
そんな予感がしていた。
部活が終わって、優にいちゃんのいる、
美術部の部室に顔を出す。
美術室を覗き込んでいると、
女の人が近づいてきた。
「何か用?」
「あの、吉野優一先輩を……」
キレイな人だった。
前髪が長めのショートカットから、
切れ長の目が覗いている。
油絵の具で汚れた、
白いエプロンをつけている。
私のことを品定めするように見ている。
冬用の制服だと少し暑い。
矢沢先輩と付き合いだして
半月が過ぎようとしていた。
私の不安をよそに、
矢沢先輩はとても優しかったし、
春樹とは何事も無かったかのように、
仲良くできていた。
このまま全てがうまくいくような、
そんな予感がしていた。
部活が終わって、優にいちゃんのいる、
美術部の部室に顔を出す。
美術室を覗き込んでいると、
女の人が近づいてきた。
「何か用?」
「あの、吉野優一先輩を……」
キレイな人だった。
前髪が長めのショートカットから、
切れ長の目が覗いている。
油絵の具で汚れた、
白いエプロンをつけている。
私のことを品定めするように見ている。