いつかたどりついたら
「元気がないじゃないか、千里よ」

八千代が芝居がかった口調で言う。

「そ、そう?」

「泣きはらしたみたいな目をしているわ」

ちゃんと顔は洗ってきたけど、
わかってしまうのだろうか。

さっき春樹に振られて、
学校に着くまでずっと
電車の中で泣いていた。

春樹はまだ
教室に来ていないみたいだった。
優にいちゃんも一緒にいるのかな。
二人でどこに行ってしまったのだろう。

「まあ、おはぎでもお食べ」

「おはぎ? 朝から?」

「千里に食べさせてやろうと思って
たんとこしらえてきたのさ。
さあ、お食べ。」
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