いつかたどりついたら
「……見た?」

うつぶせに寝たまま春樹が尋ねる。

「ごめんね、隠していたとは思わなくて」

「……」

「どうしてその写真だけ別にしてあるの?
去年、海に行った時の写真だよね」

他の写真は部屋に飾ってあるのに、
そんななんでもない写真を
ベッドに隠している意味が分からない。

「頼むから忘れてくれ……。
見なかったことにしてくれ……」

うめくように春樹がつぶやく。

「いいけど。変なの」

遠くでさおだけ屋の音が聞こえる。
春樹が突っ伏したまま
ずっと黙っているので
私もベッドに座ってぼんやりしていた。
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