いつかたどりついたら
電車の中での会話を思い出してみる。

春樹の表情が急に変わったのは、
矢沢先輩から
告白された話をしていた時だった。

私は、高校に入学して一ヶ月の間に、
立て続けに六人の男子に
交際を申し込まれた。

私が取り立てて美人なわけでもない。
どちらかといえば、
眼鏡で
おさげ髪で
ダサい方だ。

私たちの通う高校は
男子校の普通科と
男女共学のデザイン科に分かれていて、
全校生徒の男女比は8:2くらいだった。

だから入学早々、
普通科の男子は
早いもの勝ちで
フリーの女子を獲得するために、
デザイン科の校舎に
女子を物色しに来るのだ。

その六人目の男子が
矢沢先輩だった。

五人目までは一年生だったけど、
何故か二年生の先輩に
呼び出されて驚いた。

学生服のズボンは膨らんだボンタンで、
髪型はリーゼントに近いオールバックで、
少しソリコミも入れていて、
どう見てもヤンキーだった。
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