いつかたどりついたら
初めて足を踏み入れる普通科棟。
男子生徒しかいなくて、
本当に男子校そのものだ。

矢沢先輩の教室を探す。
三階にあるその部屋には、
まだ三人、男子生徒が残っていた。

「すみません」

開いたままのドアから声をかける。
雑談をしていた男子たちが

「お、女子だ」

「お前、行ってこいよ」

などと話しをしている。

「あの、
矢沢先輩は今日学校に来ましたか?」

待ちきれなくてそのまま声をかける。

「あー、あの子矢沢の彼女じゃん」

三人がちょっと興味深そうに私を見て、
一人だけ、私のそばに来てくれた。

「矢沢は今日欠席だよ。
骨折したとかなんとか聞いたけど、
担任に聞いてみたら?」

「ありがとうございました!」

骨折。
やっぱり矢沢先輩は
バイクで事故を起こしたのだろうか。

不安を抱えたまま、
急いで職員室に向かった。
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