いつかたどりついたら
「あの、いとこだろ」

驚いて先輩の顔を見る。
彼はあたりまえのような顔をして、

「隠してるつもりかも知れないけど、
千里ってなんでもすぐに顔に出るもんなあ」

と言った。

「そうなんですか」

「だから、あの日暗室で
俺のことを好きだと言ってくれた時、
本気なんだって分かってすげー嬉しかった」

前髪で、先輩の表情がよく見えない。

「だけど、鎖の夢を見るようになったのは
その日の夜からなんだ。
やっと手に入って幸せだったはずなのに。
なんでかなあ」

「先輩は、
どうして私の事を好きになったんですか」

ずっと気になっていた。
告白されるまで
挨拶すらしたことも無かったのに。

「一目惚れ」

少しだけこっちを向いて、
矢沢先輩がにやりと笑う。
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