いつかたどりついたら
「自分でも知らなかったけど、同時に
二人の男性を好きになれるみたいです。
私は最低です。こんな自分が大嫌いです。
絶対に、矢沢先輩のこと傷つける。
だから……」

「それ以上言うな」

彼は少し怒ったように言ったあと、

「俺、一度も女に振られたこと無いんだけど。
そんな女遍歴に泥を塗る気?」

と、冗談ぽく言った。

「ごめんなさい、私……」

涙がこぼれそうになる。

「だから、俺から振ってやるよ」

「先輩……」

「なんて、かっこつけてみたけど、
本当は怖いだけなんだ。
千里から別れたら、罪悪感で
もう二度と会ってくれないだろ」

先輩が窓の方を見ている。
声が、少し震えている。

「だから、一回リセットしよう。
俺だけを見てもらえる自信がついたら、
もう一度、千里に告白するから」

鼻をすする音が聞こえる。
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