いつかたどりついたら
どうしたらこんな絵が描けるんだろう
と、羨望の眼差しで
キャンバスを見ていたら、

「千里、顔が変わったね」

と、天草先輩に言われた。

「え? そうですか?」

「うん。
前は見ただけでムカツク顔をしてたのに、
大分マシになった」

褒められているのだろうか。
天草先輩は本当によく分からない。

「千里はなんでそんな格好してるの?
おさげも眼鏡も全然似合ってない。
気持ち悪い」

突然気持ち悪いなんて言われて
ものすごくショックを受ける。

「……眼鏡は、
目が悪いのでしょうがないです。
髪型は特にこだわりはないですけど」

「髪、切ってやろうか」

「天草先輩が切るの?」

春樹が驚いて声をあげる。

「上手いよ。私の髪も自分で切ってるもん」

天草先輩の頭を見る。
レイヤーの入った
綺麗なショートカット。

「……お願いします」

「おいおい」
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