いつかたどりついたら
ベランダに新聞紙を敷いて、
その上に木の箱椅子を置く。

上着を脱いで、
部屋を背にして椅子の上に座らされる。
白いエプロンを首に巻かれる。
テレピン油の匂いがする。

あたたかい風が
少し私の髪を揺らす。

春樹がカメラを構える。

「断髪式、いきまーす」

天草先輩が楽しそうに
声をあげる。

肩のあたりで
ジョキリと重たい音がした。

天草先輩が
私の切り落とされたおさげを
春樹の方に向ける。

春樹がシャッターを押す。

ガシャリ
ジジッ
ガシャリ
ジジッ

シャッターの重たい音が
何度も聞こえる。
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