いつかたどりついたら
頬が赤くなっていく気がした。
春樹は、私の気持ちに
ずっと前から気付いていたはずだった。

「他の奴らにも、そうやって断ったの?」

「うん」

「好きな人、って俺のこと?」

「……うん」

顔が熱い。

優にいちゃんの方を見る。
聞いていないようなフリをして
車内広告を見ている。

がたんごとんと電車が揺れる。
次の停車駅のアナウンスを
春樹は神妙な顔で聞いている。

「俺、もうお前のこと好きでいるの疲れた」

唐突に春樹はそう言った。
なんだか怒っているような
あきれているような表情だった。

そして、電車を降りた。
優にいちゃんも。

私一人が、電車の中に残った。
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