結局、きっと…好き。
改札から出てきたナツメくんはキョロキョロと辺りを見回して私を探してくれてるようだった。
そんな一々の動作にまで胸がキュンってなって。
それから更にナツメくんの好き度が上がる私はやっぱり重症みたい。
私はカラコロと下駄を鳴らして駆け出し、ナツメくんに近づいた。
「ナツメくん!」
名前を呼ばれてこちらを向いたナツメくんは、そのメガネの奥に光る漆黒の目に私を映した。
だけど何の反応を示さぬままほんの少しの間が空いて…。
「……??ナツメくん?」
「……うっす」
この間と同じように挨拶(?)をしてくれた。
「暑いですね」
「夏だからなぁ…」
そんな当たり前の会話を交わしながら電車に乗って花火大会の会場まで向かった。