結局、きっと…好き。
吸い寄せられるようにその露店の前に立ち止まった。
“付き合い出して2ヶ月だから記念に指輪買いに行くの〜”
“絶対ペアリングにするんだ〜”
あの時の悠里の声と指輪が光る左手を翳す幸せそうな顔が蘇ってきて。
「いらっしゃい。
ゆっくり見てってね〜」
道端にアクセサリーを広げるその露店のおじさんの声に導かれるようにその前にストンッと座った。
その私の突然の行動に最初は驚いていたナツメくんだけど。
「行かねぇのか?
場所なくなんぞ?」
座り込む私の横に立ってそう言葉を落とす。
「お、彼氏かい?
彼女に何か買ってやりなよ。安くしといてやるからさ〜」
商売人のおじさんはすかさずナツメくんにそう声をかけたから。
ナツメくんは若干…じゃないな。かなり苦い顔をした。