結局、きっと…好き。
ACT.9

−−−−−…私はズルい。


ズルくて……弱いから。



あの日のあの出来事をナツメくんに問い質すことも、真意を聞くこともしなかった。


だって聞いたらナツメくんはきっと…真実を話すから。


ナツメくんは言い訳なんかしないから。


気持ち良いぐらいの潔さで真実だけを告げるから。



弱い私は……その真実を知るのが怖くて。


ズルい私は……現実を受け止めれなくて。



だから…−−−−逃げた。



真実に蓋をして、その上から鎖を何重にもかけて。


鎖が解けることのないように。


蓋が開くことのないように。


厳重に鍵をかけて自分の胸の奥の奥の……奥に閉まった。



そうやって…忘れることで、気付かないふりをすることで……現実から逃げた。



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