結局、きっと…好き。
「………それはないよ。
そりゃ、憎むとか忌々しいとか、そんなんじゃないけど…でも、確実にナツメくんのおかげで恋愛に夢や希望はなくなったもん」
唇を尖らしながらそう呟けば、隣で運転する店長の『クスッ』って笑う気配がした。
「だけどお前…そのナツメくんとやらがいたから『あの高校入って良かった〜』って言ってなかったか?」
「そ、そんなの…夢見れてた幸せな時の戯言だよ」
「そうか?俺は本心にきこえたぞ?」
「…………。」
……本心に決まってる。
嘘偽りないその時の本心。
でも今はもうそんなこと思いもしない。
何なら、ホントにさっき言ってたスイッチがあったら小学校からやり直してちゃんと勉強して、ナツメくんよりもレベルの高い高校行ってもっと違う人と出会って恋愛したかったとさえ思う。