結局、きっと…好き。

「痛……ッッ!
何で叩くのよーっ!?」


「お前には情緒ってもんがないのかっ!

大体、さっきまで寝てたじゃねぇかっ!」


………そうゆう事らしい。


でも情緒って言われても…。


「へーへー、すんませんね」


嫌味っぽく言って。

さっぱりわからない情緒とやらを楽しむために黙ることにした。


だけど波の音しか聞こえてこなかったはずなのに隣から微かな鼻歌が聞こえてきて。


よくよく耳を澄まして聞いてみたらさっき車の中で流れてた失恋ソングを店長が歌ってた。


「よっぽど好きなんだね、その歌」


「ん?あ〜…好きだった女が好きだった」


「失恋ソングなのに?」


「失恋ソングなのに!」


そう言ってクスッて笑った店長はすごく優しい横顔だった。


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