結局、きっと…好き。

「そしたら…な?」


ニヤッ…そう笑って私を見た。


「そしたら…?」


何かわかんないけど、ゴクッと生唾を飲み込んだ。


「俺には……何もなかった」


「……え??」


「アイツばっか追っかけて、アイツのことばっか考えて。

気がつきゃツレはいなくなったし、アイツに注ぎ込んで金はねぇし。

まさに“カラッポ”だ」


「カ、カラッポ…?」


「おう、カラッポだ。

財布も心もスッカラカン。何も残っちゃねぇ。

孤独だ〜、無力だ〜。

次はそう言って嘆いてた。

でも独りの時間があったからじっくりアイツを思い出せたよ。

思い出したくもなかったんだけど、思い出し始めたら…全部楽しかったことばっかりでな…。


一緒に飯食って、どっか行って。笑って、寝て…幸せな時のことばっかり」

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