結局、きっと…好き。
一目惚れをしたのは顔だった。
涼しげな目元を隠すようにかけられた黒縁のメガネがよく似合ってて。
真っ黒の髪の毛やポコッて出た喉仏が男らしくて。
それから…背が高くて、全体的に線が細いナツメくんの歩く姿に目を奪われた。
次に好きになったのは声。
たまたま学食で近くに座った時に聞こえてきたナツメくんの低い声。
それから…手。
今にも風で飛ばされそうな掲示板の紙を押しピンでとめていたナツメくんの長い指にちょっとドキドキした。
ナツメくんを形作る外見ばかりが好きで、中身なんて二の次だった。
それが振られて大っ嫌いになるまで私が好きだったナツメくん。
でも今は…。
数日を過ごしてナツメくんって人をちょっとだけ知って私は…。
私は…。