キスしたくなる唇に。
「ちょっとぉ、あずき何やってんの」
帰ってきたら早々、おでこに冷えピタ、火照った顔のあたしを見て呆れ顔の母。
しょうがないじゃん、あたしはそうとだけ言って自室にこもり、布団にうずくまった。
あたしはきっと勘違いをしている。
だって、ありえないもの。
「あ、あたしが先輩を好き…とか…」
つぶやくように言ったハズの言葉で、あたしの胸の奥はじぃんと熱くなった。
熱のせいかもしれない。けど多分違う。
…まだ西野が好き。
そう思えたほうが、今のあたしにとって安心安全。