キスしたくなる唇に。


先輩は最後笑顔で「じゃーね」なんてお気楽に言いながら我が教室を後にした。




…正直、止めてもらってよかった。

あのままキスなんかしてたら、後の罪悪感やらであたしはどうにかなって、ろくに西野と話すこともできないと思う。




「…あ、…ぅ、薮知……?」




先輩が消えてからぼーっとしていたあたしに、不意打ちの如く西野はあたしの名を呼んだ。




「…西野、ここで寝てると風邪ひく」

「………今、晃先輩居た?」






…なぜ西野が先輩のことを。

…ああ、そっか。1年のとき一回会ってるんだっけ。


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