キスしたくなる唇に。


「今日西野君お休みでしょ? 会議忘れてそうだなあって思って」



そうだ…今日、西野お休みだったんだっけ。

インフルエンザで。



…早く治ります様に。




「…あ、すいません。すぐ行きます」




ちょっと居た堪れない感をひそかに漂わせるあたしを、後ろでぶぶ、と不細工な笑いで飛ばす千穂。




「じゃあ薮知さん借りるね~」



教室を出る前、そんなことを言って笑顔を撒き散らしたのが聞いたらしく、あたしらが抜けた教室は一気に女子のざわめきがたった。



…うん、まあ。顔だけ見れば王子っぽいかもね。




< 37 / 172 >

この作品をシェア

pagetop