キスしたくなる唇に。
「今日西野君お休みでしょ? 会議忘れてそうだなあって思って」
そうだ…今日、西野お休みだったんだっけ。
インフルエンザで。
…早く治ります様に。
「…あ、すいません。すぐ行きます」
ちょっと居た堪れない感をひそかに漂わせるあたしを、後ろでぶぶ、と不細工な笑いで飛ばす千穂。
「じゃあ薮知さん借りるね~」
教室を出る前、そんなことを言って笑顔を撒き散らしたのが聞いたらしく、あたしらが抜けた教室は一気に女子のざわめきがたった。
…うん、まあ。顔だけ見れば王子っぽいかもね。