キスしたくなる唇に。
「ふーん、お化け屋敷になったんだね。俺が二年の時もそうだった」
違和感がある。
なぜあたしは今先輩と一緒に昼食をとっているんだろう。
先輩におごってもらったオレンジジュースのパックをひたすら絞って飲み込んで、最後はつぶしてごみ箱へ乱暴に投げた。
「…何ぴりぴりしてるの? お化け屋敷やだったの?」
「…違います」
いい加減、あなたと二人きりの空間に慣れないって気づいてほしい…。
なんて淡い幻想も、糞寒い風に吹き飛ばされた。