キスしたくなる唇に。

あ。しまった。
つい反応してしまった。



時すでに遅く、先輩は狙ったかのようにいつもより黒いというかなんというか。青っぽいオーラを放ち、


「俺が1年の時は学園祭で女装喫茶やらされたんだよねぇ。女子の方が権力が強かったし」


「…女装………」




あたしが明らかに笑いをこらえてるって顔をすると、

先輩は始めてみせるむって音が尽きそうな表情をこちらに向けて、いつものスマイルとちょっと違った笑顔をあたしに向けた。




……あれ、黒くない。


思わず固まったあたしに気づいて、先輩はあたしに『どうしたの?』なんて言って来る。




「いや」

どうしよう、怖い。

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