キスしたくなる唇に。

見回り、とは言っても、校内をただひたすらにぐるぐると回って注意したりするだけだったし、ほとんどあたしへのご褒美みたいなもんだった。




心の底からありがとう実行委員。



あたしは心の奥底でいるかもわからない神様に手をあわせた。



「花火ってどっからあがるんだろうな」





焼きそばを食べ歩きする西野のぼそっと行った言葉に、緊張しながらもあたしは『そうだね』なんて相槌を打ってみる。



ちなみに花火が上がるのは学園祭後の後夜祭で、毎年カップルがそこで誕生するなんてベタな噂が実際あったりする。



問題は、西野をどうやって誘うか、だ。



あたしは一人地味にこぶしをぎゅっとにぎりしめて、ついでに飲み終わったオレンジジュースのパックもつぶした。


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